以前、低反発マットレスが人気マットレスランキングの上位に位置していた時期がありました。
それまで主流だった敷き布団やコイルマットレスに比べ、ゆっくりジワーッと沈み込む柔らかい寝心地が新鮮で人気になったのです。
しかし、その後は凋落の一途。
今では不人気マットレスに近い扱いになっています。
ネットの口コミを見ても「買って後悔した」「腰痛が悪化した」「夏場はムシムシする」「臭いが取れない」などの酷評が多いようです。
最近では粗悪な低反発マットレスが多く出回っており、余計に評判を落としています。
品質が悪く生産国さえ不明な低反発マットレスを買ってしまい、後悔しないようにしてください。
概要
低反発マットレスとは
低反発マットレスは、体重をかけるとゆっくりと沈み込み、ゆっくりと回復していく、反発力の低いマットレスの総称です。
柔らかいスポンジのような素材をイメージしてもらえばわかりやすいでしょう。
元々は宇宙飛行士用にNASAが開発した形状ウレタンの技術で、それを寝具に転用したものでした。
寝ると全身がマットレスと一体化し、包み込まれるような高いフィット感に特徴があります。
つまり、体圧分散性に優れているのです。
そのため、痩せ気味の骨張っている体格の方には、柔らかめのフィット感が心地よく感じられ支持される傾向でした。
その柔らかい寝心地が評判となりましたが、一方で多くの課題を持つマットレスだとも指摘されていました。
低反発マットレスには多くのデメリットがあるのです。
低反発マットレスのデメリット
マットレスの沈み込みが大きい
近年は、高反発素材と低反発素材の両方を使ったハイブリッド型のマットレスが増えていますが、低反発素材だけを使っているマットレスでは、沈み込みの大きさが懸念されます。
低反発マットレスは反発力が低いため、体が大きく沈み込んでしまいます。
上のイラストの3番目の状態のように、中でも一番重い「腰」が沈み込んでしまうため、寝返りがスムーズにできなくなる可能性が高くなります。
寝ている間に発症する腰痛や肩こりは、総じて寝返りの減少が理由と言われています。
寝返りは血行を促進し、筋肉や靭帯の老廃物を運ぶ役割を果たしています。
また、適度な寝返りは、骨盤や姿勢の歪みを正す機能も担っています。
低反発マットレスは、これらを阻害するリスクがあるのです。
とりわけ、腰痛に悩んでいる方は、低反発マットレスの使用はNGだと断言できます。
通気性が悪い
低反発マットレスは、スポンジ状のウレタン素材を使用しているため、通気性に欠点があります。
このデメリットが強調されるのは夏です。
日本の夏は高温多湿なので、低反発マットレスでは乗り切れないでしょう。
低反発素材特有の通気性の悪さにより、蒸れてしまい、汗をかきやすくなります。
スポンジ素材が、その汗を吸い込みます。
それがカビ発生の原因になり、悪臭を発生させます。
そして、それを放置するとダニが繁殖します。
結果、とても快適な寝心地とは言えない睡眠環境になってしまうのです。
洗えない
低反発マットレスは水洗いができません。
低反発ウレタン素材は水に濡れると、加水分解という化学反応が起こり、ウレタンフォームがボロボロになってしまうのです。
その瞬間、マットレスとしての寿命は終わりになります。
できるのは、タオルで拭くことや陰干しくらいです。
悪臭が発生したり、カビやダニが出ても、できるメンテナンスには限界があるのです。
低反発素材で衛生的な睡眠環境を維持するのは困難です。
特にアレルギーを持った方やお子様が使用する場合には注意が必要です。
季節で寝心地が変化する
低反発マットレス問題のひとつは、温度によって素材の硬軟が変化してしまう点です。
具体的には、冬場の寝心地は硬く、夏場は逆に柔らかすぎる寝心地になってしまいます。
本来、マットレスは四季を通じて同じ寝心地を維持すべきですが、低反発マットレスでは、それが実現できません。
もし、年間を通して同じ反発力を維持するのであれば、冷暖房を使って部屋の温度を一定に保つ必要があります。
耐久性が低い
低反発マットレスはスポンジに近い素材なので、長く使うとボロボロになってくるなど、耐久性は高くありません。
低品質のウレタンの場合、1年程度でヘタってしまい、あっという間に使えなくなってしまう場合もあります。
高品質ウレタンであっても、早ければ2~3年程度で腰や臀部、また背中の部分が変形してしまい、寝づらくなってしまうケースがあります。
使い捨て感覚であればいいのですが、長期間使う前提で購入するのであれば再考が必要かもしれません。
低反発マットレスの選び方
低反発マットレスだからと言って、すべてがダメなわけではありません。
最近は高反発素材とのハイブリッド型も登場し、以前よりは機能性が向上しています。
最新の睡眠テクノロジーが導入されている機能性低反発マットレスなどであれば、検討に値するでしょう。
しかし、旧態依然とした低反発マットレスはあまりおすすめできません。
特に低品質商品は絶対にNGです。
もし低反発素材のマットレスを選ぶのであれば、以下ポイントを参考にしてください。
厚みがあり、体の沈み込みすぎないこと
低反発マットレスを選ぶ際、最も大事な点のひとつが、ウレタン素材自体に厚みがあり、体が沈み込み過ぎないものを選ぶことです。
低反発マットレスは、全身を沈み込ませながら、その体重を受け止める特徴があります。
体全体が沈むため、薄いマットレスでは確実に底づき感が出てしまいます。
具体的には、今現在使っている敷布団やマットレスに重ねて使う場合には5cm以上の厚みのものがおすすめ。
低反発マットレス単体で使う場合は、最低でも10cm以上の厚みがあるものを使うといいでしょう。
この厚みがあれば、底づき感は回避できるはずです。
寝返りのサポート力
低反発マットレスは寝返りのサポート力が少ない上に、腰が沈み込むため、余計に寝返りがしにくくなります。
寝返りの回数が少なければ、睡眠時に疲労回復ができなくなるので、適度な寝返りのサポート力があるマットレスを選ぶようにしてください。
マットレスに横たわったとき、自分で力を入れないと寝返りができないくらい体が沈んでいるのであれば、完全に却下です。
力まなくても自然に寝返りができる程度の若干の沈み込みで収まる反発力が必須です。
オープンセル構造がおすすめ
最近はウレタン素材の開発が進み、ウレタン内部に細かい気孔が網目のように通っている「オープンセル構造」が登場してきました。
このオープンセル構造のマットレスであれば、従来の低反発マットレスよりも通気性はよいでしょう。
とはいえ、通気性がよいと言っても、高反発マットレスと比較すればムシムシするのは確実です。
オープンセル構造の低反発マットレスであっても、梅雨や夏の夜には寝苦しく感じるでしょう。
あくまでも低反発マットレス同時の比較であれば、オープンセル構造がマシとのレベルです。
なるべく軽量なものがおすすめ
低反発マットレスは高密度の素材を使用しているので、どうしても重くなります。
大きめのサイズの低反発マットレスであれば、20kg前後の重さになる場合があります。
低反発マットレスは洗えないため、定期的な陰干しが必要になりますが、重すぎるマットレスは持ち運びが大変です。
男性であれば比較的容易に移動できるかもしれませんが、女性や高齢者には厳しい重さかもしれません。
また、腰部分の沈み込みによる変形を解消するために、定期的なマットレス位置のローテーションが必要になりますが、重量のあるマットレスの場合、この作業も大変な負荷になります。
重く動かしづらいため、ついついローテーションを怠り、結果、腰痛を発症させてしまったケースは多いのです。
マットレスの重量ゆえにメンテナンスをしなくなってしまうと、マットレス自体の寿命を縮めることになりかねません。
お手入れのしやすい重量・サイズ感の低反発マットレスを選びましょう。
ハイブリッド型のマットレスを選ぶ
低反発マットレスを選ぶ時は、純粋な低反発マットレスではなく、高反発マットレスの要素があるハイブリッド型のマットレスをおすすめします。
低反発マットレスで有名な「トゥルースリーパー」は、ハイブリッド型ではありません。
一方、「エムリリー優反発マットレス」のように、低反発素材の利点と高反発素材の長所を複合しているマットレスの場合は、寝心地や機能面でメリットが大きいはずです。
低反発マットレスの欠点である「沈み込み」や「耐久性」を、高反発素材でカバーできれば、低反発の長所である「体圧分散性」や「柔らかい寝心地」がより引き立つでしょう。
低反発のよさを再認識できるかもしれません。
コスパのよい低反発マットレスを選ぶ
低反発マットレスの価格はピンキリです。
激安の低反発マットレスも売られていますが、あまりおすすめはできません。
低反発ウレタン素材の品質が悪く、体に痛みが生じるリスクが高まるからです。
最低でも2~3万円程度の商品を購入するといいでしょう。
この価格帯の低反発マットレスであれば、一定の知名度のある商品で、あまり粗悪品はないはずです。
一方、5万円以上するような低反発マットレスの場合は、広告宣伝費を含む、ブランド価格が上乗せされている可能性があります。
品質よりはブランド代を支払っているイメージなので、コスパを重視する方は見送った方がいいかもしれません。
低反発マットレスの口コミと評判
低反発マットレスの好意的な口コミと評判を集めてみました。
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ボコボコのついた低反発マットレス買ったんだけど大正解だった。8690円はドンキに売ってたトゥルースリーパーの半分くらい。寝心地かなりいいです。
おすすめ‼️ pic.twitter.com/C5HLuTb7vM— デビルハンド (@tk22536) May 30, 2023
新生児の夜勤用にリビングに低反発マットレスをひいてるけど…
猫の昼寝布団になってる😵💫
大胆に寝過ぎでは… pic.twitter.com/Cfd4tl7Z8l— アサナンデス (@ba7nasu) May 3, 2023
16時頃にね、母からトゥルースリーパーが送られてきたんだよ。体圧分散の低反発マットレスね!ショップジャパンね!また大袈裟な…こんなので不眠が治るなんて…と思って敷布団の下に敷いたら、一瞬にして眠気きたよね(ㅇㅅㅇ)いや〜うちのベッドが痛くない…すげぇ。 pic.twitter.com/0OvPH04xEX
— 1年後にデビューする倉蔵 (@i2_jks) April 24, 2023