概要
マットレスに必須の機能
マットレスのチェックポイント
体圧分散機能は必須
体圧分散機能があれば寝返りがしやすくなり疲労が蓄積しない
マットレスに求められる機能のひとつが「体圧分散」です。
体圧分散とは、文字通り「睡眠時に体にかかる圧力を分散させる機能のこと」です。
人間の背中は直線ではなく、ゆるいS字になっていますので、後頭部や背中(肩胛骨付近)、さらに臀部が出っ張っています。
つまり、人間は仰向けに寝ると、出っ張っている部分に負荷(体重)が集中してしまうのです。
寝返りができず腰への負荷が増大
特に負荷がかかるのが「腰」です。
睡眠時の腰への負担は若く健康な人でも避けられませんが、近年の高齢化に伴い、筋力が低下している人が増えているため、身体を支えきれなくなってしまった高齢の方が増えてきました。
この筋力低下によって、寝返りがしづらくなるという弊害も起こります。
腰に負担がかかるため、寝返りが打ちづらくなる。
その結果、血流が滞り、老廃物がろ過されず、疲労が蓄積する。
そして更に腰に負荷がかかるようになってしまうのです。
このため、腰痛を発症させてしまったり、腰痛を悪化させてしまうケースが増えているのです。
体圧分散は負荷軽減の切り札
人体の構造や高齢化などの理由により、寝ている間に体を痛めてしまうという悲しい事例が多く報告されるようになりました。
これを解決するための機能が「体圧分散」だったのです。
とりわけ下の絵のように、腰にかかる負荷を均等に近づけようとする機能として知られるようになっています。
体圧分散機能のあるマットレスであれば、腰が沈み込むことなく、正しい寝姿勢を維持できるので、寝返りが打ちやすくなります。
血流が正常化すれば、筋肉や靭帯を痛めることが少なくなるのです。
マットレスの使い方で寝返り促進
寝返りのポイント
柔らかすぎずマットレスは寝返りができず疲労が溜まる
適度な硬さのマットレスがおすすめ
マットレスはそれぞれ素材や硬さが違いますので、当然、使い方や性能も異なってきます。
具体的な機能で言うと、「体重分散」と「寝返りのしやすさ」に最も大きな違いが出てきますので、それぞれに合った使い方をしなければいけません。
柔らかすぎるマットレス
柔らかすぎるマットレスは、包み込むように体全体と接地するので、体圧は分散されます。
しかし、体圧は分散されても、かえって腰や肩などの重たい部位が沈みすぎてしまい、体の一部分に負担がかかってしまいます。
当然、寝返りは打ちづらくなります。
これにより、血流が滞ってしまい、筋肉疲労が蓄積したり、場合によっては神経を圧迫してしまったりするのです。
このために、寝ている間に腰痛になってしまうケースもあるのです。
このような柔らかすぎるマットレスの場合、体圧分散機能を有した敷きパッドを使い、沈み込みを防止するといいでしょう。
硬すぎるマットレス
他方、硬すぎるマットレスの場合は、身体の局部ごとに強いストレスがかかり、その部分に血行障害などが起こることになります。
日本人は、硬く薄くなったせんべい布団の方が身体によいと信じてきた傾向があります。
その理由は柔らかい布団やマットレスに寝ると腰が落ち込んでしまい、腰痛などの原因になるためです。
そのため、マットレスやふとんの敷寝具は硬いのが好まれてきたのです。
しかし、硬さにも限度があります。
板の上で寝てる姿をイメージしてみてください。
ゴツゴツして背中や腰が痛くなるのではないでしょうか。
硬いマットレスは、これに近い状態なので、体にいいはずがないのです。
人間は少し柔らかいところで寝る習慣ができています。
わざわざマットレスを使うのもそのためです。
快眠には適度な弾力が必須なのです。
マットレスには適度な硬さが必要
このように、マットレスは柔らか過ぎても、硬すぎてもダメなのです。
いずれも健康を害してしまうので、適度な弾力のマットレスを選ぶ必要があります。
当然、その適正な硬さのマットレスを選択できた場合は、体重が分散して各部に適切な荷重となるため、快適な睡眠が得られやすくなります。
これは、いわゆる「直立時のS字ライン」を寝ながらキープできているベストな状態と言えるでしょう。
最高の寝姿勢を維持できている状態なので、健康によいに決まっています。
つまり、マットレスに求められる根源的な性能とは「程度な弾力が生み出す適切な体圧分散」なのです。
適切な体圧分散は、寝具売り場にある体圧分散測定器で計測することができます。
自分の睡眠時の姿勢とかかっている体圧を調べてみるといいでしょう。
体圧分散以外にマットレスに求められる機能
マットレスに必要な機能
寝心地だけでマットレスを選ばないこと
マットレスの硬さは、その単位「ニュートン」でチェック
体圧分散の重要性について理解いただけたと思いますが、実は多くの人は体圧分散の真の価値を知りません。
そのため、マットレスに求める一番の機能といえば、言わずもがなの「安眠」「寝心地」というのが多くの方のリクエストなのです。
残念ながら、マットレスに体圧分散の機能は求められず、あくまで「寝心地」だけがマットレス選び方の基準になってしまっている現実があるのです。
快適で朝までぐっすり寝られる寝心地のいいマットレスが最高のマットレスであることは疑いの余地がありません。
どんなに高価であっても快眠できなければ無意味です。
わざわざ海外まで行ってフルオーダーしたのに、結局、寝心地が悪く、熟睡には程遠かった・・・というケースもあるのです。
つまり、マットレスに求められる機能とは、体圧分散であることは間違いありませんが、それ以外の安眠を達成するための手段や条件が何かということになります。
マットレスの柔らかさ・硬さ
まずは、マットレスの「柔らかさ(硬さ)」を取り上げる必要があるでしょう。
マットレスには適度な硬さが必要だと言いましたが、この硬さが寝心地に大きな影響を与えます。
一般的にマットレスの柔らかさ(硬さ)は、ニュートンで表されます。
ニュートンとは、JIS規格で定められているもので、この数値が大きいほど、マットレスが硬いということになります。
マットレスは素材や製法により、肌触りや寝た感じがまったく異なります。
多くの人は柔らかさマットレスの方が寝心地がいいというイメージを持ちますが、「柔らかければよい」というわけではありません。
これは好みの問題があるので、一概にどのくらいの柔らかさがいいとは断言できませんが、柔らか過ぎるマットレスは問題があると断言してもいいでしょう。
低反発マットレスは寝返りが打てない
低反発マットレスのポイント
低反発マットレスは腰痛悪化のリスク
低反発マットレスは通気性が悪く寿命も短い
マットレスが柔らかすぎるケースでは、体全体が沈みすぎることによって、様々な問題も出てくるのです。
前述の通り、特に腰が沈み込んでしまうと体全体に悪影響があります。
以前、低反発マットレスが人気になったことがありました。
テンピュールやトゥルースリーパーなどが低反発マットレスとして有名です。
これら低反発マットレスは、柔らかいマットレスの代表格とも言えますが、今では使っている人が減っているようです。
使っているうちに腰痛が悪化したり、肩こりが酷くなってという事例が多かったため、ブームが去ってしまったのです。
反対に高反発マットレスが人気になっています。
寝返りがしづらい
寝返りは睡眠に必須ですが、低反発マットレスはそれを阻害してしまいます。
低反発マットレスのように身体とマットレスが密着し過ぎると寝返りが打ちにくくなるのです。
「低反発マットレスは腰痛によくない」と言われる原因はここにあるのです。
低反発マットレスは通気性が最悪
低反発マットレスは柔らかいため、身体とマットレスの間に隙間がなくなってしまいます。
人間は一晩に200~600ccの汗をかきますが、多くが背中からの発汗です。
湿気は行き場がなくなり、蒸れて不快感が増大します。
そして、それを放置すればカビなどが発生し、衛生面での重大な問題に発展していくのです。
低反発マットレスは寿命が短い
臭いも気になるので、長く使うことができなくなります。
汗の逃げ場がなく、カビが発生し、ダニが湧く。
衛生的には最悪の状態と言えます。
結局、低反発マットレスは、寿命の短いマットレスということになるのです。
高いお金を出しても、コスパは悪いと言わざるを得ないのです。
寝返りの重要性(褥瘡防止)
寝返りのポイント
寝返りは床ずれ防止になる
寝返りが多すぎても熟睡できない
病院の長期入院患者など、自分の体を自由に動かせないケースでは、マットレスと触れる部分の皮膚が長時間にわたり圧迫され続けることもあります。
この場合、血流が不足して皮膚や筋肉などの組織が壊死する状態になります。
これを「褥瘡(じょくそう)」といい、いわゆる「床ずれ」の重症化した症状になってしまうわけです。
健康な人なら自力で寝返りを打てるため、無意識に体重移動を行っています。
そうやって血流を活発にして、自然に筋肉の疲労を取り除いているのです。
実は、この寝返りが睡眠中には不可欠な動きなのです。
しかし、マットレスの硬さに問題があると、寝返りの頻度にも影響が出てきます。
特にマットレスが硬すぎる場合は、圧迫部分が多くなるため、無意識の寝返り回数も増えて、快適な睡眠からはほど遠くなります。
必要以上に寝返りをしてしまえば、深い睡眠が得られるはずないのです。
硬い寝床で熟睡するのは難しい理由は、こういう点にあるのです。
集中的に血流が止まることを防ぐには、ウォーターベッドのような水の浮力を利用しマッ卜を体に密着させるような寝具も有効ですが、水は重く、管理も面倒です。
その上、体圧分散が不十分のため、今では不人気商品となっていて、最近は寝具売り場でウォーターベッドを見ることも少なくなりました。
マットレスの表面加工も重要
マットレスの機能性
表面に凹凸のあるマットレスはおすすめ
ニトリのマットレスは慎重に検討すること
体圧分散という課題の解決は、硬さだけに依存するわけではありません。
例えば、マットレスなどの表面に凹凸などの工夫を凝らしてみるというのもひとつの手でしょう。
体の一部分が接触する平面が多点で支えられるような構造にしておくと、局部的なうつ血などを避けることができるようになりますし、通気性もよくなります。
有名なのは、東京西川のAirというマットレスで、「点で支える」という思想で、疲労回復が早いとの評価から、アスリートを中心に人気商品となっています。
マットレス自身の硬さだけでなく、表面の工夫によって良質の寝具が生まれる事例と言えます。
体圧分散というと、マットレスの硬さだけが注目されますが、実はマットレスの表面の形状が良い眠りを得るためには大きなポィントとなるのです。
無印やニトリの体圧分散マットレス
最近では無印良品やニトリでマットレスを購入する方もいらっしゃるでしょう。
確かに価格が安いので、コスパはいいと思いますが、体圧分散機能だけを考えれば、やはりマットレス専用メーカーの商品の方が優れていると言えるのではないでしょうか。
無印やニトリは手軽に買え、しかも安く、信頼性もある。
ついつい買いたくなってしまう気持ちも理解できますが、毎日使うマットレスは、やはり専門メーカーの商品の方が高性能です。
近年の機能性マットレスの性能進化はめざましく、素材だけではなく、形状にも大きな進展が見られます。
マットレスはあらゆる面を総合して評価する必要があるということなのです。
もちろん、体圧分散性という機能やその基礎となる素材が重要であることは間違いありませんが、その上でどのメーカーのどのような形状のマットレスにするかという点も忘れてはいけないのです。
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寝返りしやすいマットレス比較おすすめランキング
おすすめのマットレス
寝返りサポート機能がある「雲のやすらぎ」はおすすめ
同様に「モットン」や「マニフレックス」も高品質
このように、マットレスに求められる代表的な性能は「体圧分散」なのです。
これは、寝返りのしやすさにつながり、それが睡眠中の血行を促し、寝ながら体のメンテナンスをしてくれるのです。
体圧分散に優れ、通気性もよく、快眠を約束してくる人気マットレスは、以下の3商品が有名です。
価格も比較的安いので、コストパフォーマンも悪くありません。
ニトリなどでも体圧分散を謳ったマットレスを販売していますが、価格を安く抑えるために、アジアの小国で生産しているケースが多く、品質には疑問符が付きます。
マットレス購入で迷っているのであれば、以下にある「雲のやすらぎ」「モットン」「マニフレックス」の中から選択するとよいでしょう。